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NTTドコモの社員向け変革人材創出「ドコモアカデミー」の知られざる全貌。「スキル」と「マインド」両面を鍛えるプログラムの狙い

株式会社NTTドコモでは2020年度から、社内向けの人材育成プログラムとして、イノベーション統括部と人事部が共同で「ドコモアカデミー」を開設しました。ドコモ社内から、社会に新たな価値を生み出す変革人材の育成を目指しています。

プログラムでは「スキル」と「マインド」を両輪で育成。「スキル」面において、企業変革ソリューション・プラットフォームであるAlphaDrive/NewsPicksが手掛ける複数のソリューションをご活用いただいています。大企業内の新規事業創出を支援してきたAlphaDriveによるメンタリングや、「NewsPicks Premium 法人契約プラン」の利用、動画学習プラットフォーム「NewsPicks Learning」などです。

今年3年目を迎えるドコモアカデミーは2020年度に約60名、2021年度に約110名の卒業生を輩出。卒業生は各部門でめざましい活躍をみせているといいます。アカデミーの狙いと手応え、今後の展望を、イノベーターとしても著名な創設者の2人に聞きました。

聞き手はAlphaDriveの加藤隼とNewsPicks for Businessの榊原洋平がつとめた。

導入部署
イノベーション統括部
主な活用目的
新規事業をテーマとした人材育成プロセス伴走支援

沼田尚志

NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出推進担当 ドコモアカデミー学長 スーパーイノベーター

沼田尚志

山本将裕

NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出推進担当 ドコモアカデミー学長 ONE JAPAN共同代表

山本将裕

加藤隼

AlphaDrive イノベーション事業部 マネージング・ディレクター

加藤隼

榊原洋平

NewsPicks for Business コンサルティングセールス

榊原洋平

導入の狙い

新規事業開発プログラムに参加する社内人材を増やしたい。創設した社内アカデミーにおいて、「スキル」と「マインド」を両輪で育むプログラムへの支援を通じ、社員へ「勇気」をインストールしたい。

「デカいコトやろう」ドコモらしくないワーディングに惹かれて

AlphaDrive加藤(以下加藤):企業内アカデミーでも異例の盛り上がりをみせているドコモアカデミーの創設の経緯や、コンセプトメイキングの秘話を教えてください。

 

山本様:

私がNTTドコモに入社したのが2020年の9月です。10月のキックオフを経て、翌年1月にドコモアカデミーは開校しました。もともと一緒にこのプログラムを進めている沼田さんも同様の試みを考えていたのもあり、企画を一つにまとめて走り出そうとなったんです。

前職で沼田さんと同じ部署にいました。初めての出会いの時に、「山本さんは何をやりたいのですか?」という問いかけをされました。当時、何者でもないただの普通の社員で、特別なWILLもなかったので、とっさに「デカいコトやりたいっす!!」と話したんですよね。それをきっかけに沼田さんと活動することにもなり、自分の今後の大企業内での有志活動なんかに繋がっています。ドコモではこの「デカいコトやろう」をコンセプトにアカデミーを立ち上げようということになりました。

 

NewsPicks榊原(以下榊原) そのフレーズで始めたときに、沼田さんのなかで何か、心震えるものがあったのではないでしょうか。

 

沼田様:
私以上に、実際応募してきてくれた方たちの8割くらいは、このキーワードに惹かれているのではないか、という肌感覚があります。アカデミーの標語でもある「デカいコト」には「NTTドコモの未来を変えるほどの」という注記を添えていますが、つまりNTTドコモ「らしくない」ワーディングに、新しい何かが始まろうとしている予兆を感じ取ってくれているんですね。

 

山本様:
おそらく大企業に勤める社員は、キャリアのスタート時にはそういう意志を持っていたはず。ただ、あらゆる理由でそれを引き出せていない現実があり、期待感もあったのでしょう。

 

沼田様:
構想のおおもとには、私の前職であるヤフーの「Yahoo!アカデミア」という企業内大学があり、そういったアプローチが社員のモチベーションやポジティブさに大きく貢献することがわかっていました。この考えをNTTドコモへ持ち込んだら、きっと面白くなるだろうと思ったんです。

新規事業開発の挑戦者の母数を増やしたい

山本様:
私たちが所属するイノベーション統括部は、7年近く続く新規事業開発プログラムを手掛ける部署として、すでに既存のプログラムが複数走っています。しかし、新規事業に手を挙げる人材が枯渇してきているという課題がありました。

チャレンジする人数の母数を増やさなければならないと考えるなかで、当時は私たちの上司で、現在はNTTドコモ・ベンチャーズの社長の笹原優子さんが、「塾のように鍛える場が必要ではないか」と。この提起に、沼田さんの「アカデミー」発想なども混ざりあっていき、現在の形になっていったんです。

 

沼田様
当初は「マインド」に関する内容だけに絞ったものを検討していましたが、山本さんがスキルと実績に裏打ちされた実行力のある存在として加わってくれたのも大きかったですね。彼の姿を見ると、「スキル」についてもマインドと同時に展開していく方針に考えが変わりました。

 

山本様:
アカデミーのメインビジュアルは「ライオンと鷹」なのですが、ライオンがマインドで、鷹をスキルと見立てています。情熱と鷹の目、両方が必要だと表しています。

NTTドコモに足りないもの、それは「勇気」

加藤:
アカデミー創設当時はどのような課題感があったのでしょうか。

 

沼田様:
私は副業として、さまざまな会社でイノベーション推進のお手伝いをしています。金融機関、通信社、テレビ局など、他の大企業と比べてみても、人材のクオリティはNTTドコモも負けていません。社員はとても優秀で真面目です。

ただ、真面目なのだけれど、「真剣な人」が少ないように感じていました。人生を豊かにする、自分の価値を上げるといったことに真正面から取り組んでいる人がどれほどいるのだろう、と。NTTドコモには3万人弱の社員がいますが、圧倒的に足りないものが「勇気」だと思っています。

 

加藤:
確かに非常に優秀で、真面目な方が多いと思います。「勇気」が足りないというのは、どういうことでしょう。

 

沼田様:
たとえば、「この指、止まれ!」と言い出す人がなかなかいないんです。例えば「アカデミーを開きたい」と言い続けるような力は、まさに勇気に裏打ちされています。この能力を、NTTドコモ全社員に開放し、インストールしてもらえたら、もっと良い会社になるはずだと思いました。

学生時代は自ら「この指、止まれ!」と言って、何かを手掛ける人が多かったはず。ところが入社すると、それがなりを潜めてしまう。ただ私からすれば、それは自分のバリューが低いせいだと考えます。自分のバリューを高めて、何でも好きなことをできるようになればいいのです。

しかも、何が起こるかわからない「VUCAの時代」にあって、指示待ちでいることはツラい。でも、何をしたらよいかもわからない。それでも「デカいコトをやろう」と思って入ってきた人に、私たちから提供できるものを渡していこうと。

 

榊原:
だから「解放特区」が必要だったということでしょうか。

 

沼田様:
まさに必要なのは「解放特区」でしたね。それぞれが自分のバリューを高めて、何でも好きなことをできるようになればいい。そういう狙いがありました。

 

山本様:
良くも悪くも安定感のある企業ですし、目の前の仕事に追われているうちに、自らのキャリアに向き合う機会があまりないのも現状でしょう。それでも、キャリアやバリューを考えている人たちが集まる場に来ると、そこで自分のことを改めて考える時間になる。ドコモアカデミーは個人の変革にもつながる場だと感じています。

 

加藤:
確かに、お二人はとにかく人の可能性を信じ、それぞれの幸せや変革に向き合っておられます。アカデミーは個々人が殻を破って枠の外に出ていく、ある意味異様な空間が出来上がりましたね。

必要なのはやる気だけ。新入社員から30年選手まで

山本様:
第1期は60名、第2期は約110名が卒業しました。第2期では110名を3クラスに分け、昨年の卒業生にも「クラスメンター」として関わってもらいました。カリキュラムの前半戦が終わったら「留学」と称して別のクラスへ入ります。ドコモアカデミーという同じ世界線で進んでいるように思えて、それぞれのクラスで異なる会話が繰り広げられているのに驚きます。

参加は抽選制ですが、新規事業のアイデアなどは不要。見ているのは「やる気」と「強運」だけです。

 

榊原:
アカデミーの設計の意図を改めて教えてください。

 

山本様:
2021年度は新入社員から、1987年入社の人まで、幅広く参加。このNTTドコモという会社内で「デカいコトやろう」というフレーズに惹かれてしまった、どこか“ユニークな人”が集まってきた印象です(笑)。

どこか尖っている社員は、人事としても配属をバラバラにするでしょう。ドコミアカデミーは、そういった社内にバラバラになっていた人たちを、改めて集結させているといえるのかもしれません。職種もさまざまに、部署や関係性の垣根を越えて、「ドコモアカデミーの中でなら気持ちを抑えなくていい」となった途端に、情熱が爆発する。それはコミュニティの力もあると思います。

私や沼田さん、クラスメンターは、アカデミー生ほぼ全員と1on1でのミーティングをして向き合っています。この「向き合いの時間」から、参加者も私たちの本気度を感じ取ってくれるからこそ、その後の爆発にもつながっているのではないかと捉えています。

 

沼田様:
アカデミーでの過ごし方も、課題を設定して、みんなで一緒に作っていくような感じがありますね。

加藤:
ドコモアカデミーに伴走させていただく中で、ちょっとしたきっかけを与えただけで、人や雰囲気がこんなに変わるんだという事実に感動しています。AlphaDriveとしていろんな大企業の新規事業創出に伴走させていただいていますが、他にない盛り上がりようだと思っています。ポイントはなんでしょう。

 

山本様:
入る段階では「何をやりたいか」もわからないから、まずは対話を繰り返します。そこから少しずつ言語化していき、そのうちにアイデアめいたものが生まれてくる。あとはそれを「やりましょう!」と後押しするだけです。

決めていることとしては、現状では完全にオンラインの大学だからこそ、オンラインでの「顔出し」を必須にしています。講演では登壇者への失礼に当たるのでもちろんのこと、コミュニケーションをするSlackチャンネルでも自己紹介は全員が行い、投稿していない人がいれば促します。

アカデミー発のコミュニケーションも生まれています。第1期で「振り返り会をやりたいのだけれど構いませんか」というDMが来て、「もちろん、すぐにでも!」と返しました。こういったアクションを実行していくと、それが伝播していき、「自分が発案したことにみんなが反応してくれる」という小さな成功体験が積み上がっていくんです。

マインドに火を点け、一気にスイッチが入った言葉

榊原:
アカデミーではAlphaDrive/NewsPicksの様々なソリューションをご活用いただいています。

 

山本様:
カリキュラムでAlphaDrive/NewsPicksからの支援を受けようと思ったのは、まずは提供している新規事業プログラムや、新規事業を支援している方の講演を通じても、圧倒的に大企業社員にとって伝わりやすく、マインドに火を点けるのが上手いからです。

スキルの部分についても、「新規事業創出のステップ」などの具体例が、大企業社員に寄り添った形のコンテンツになっているのも特色です。

 

沼田様:
最初に、AlphaDriveのCEOである麻生要一さんから、新規事業創出に関して講演してもらったときのことを覚えています。麻生さんは最初に「顧客のところへ300回赴くべし」といった話をされました。困っている人に会い、自分の耳で聞き、課題を探せと。「もし、困っている人が浮かばないなら、それはあなたがぬるい人生を送っているということかもしれない」とも。

「すごい言い方をするなぁ」と感じる一方で、みんなの心にグサッと来たのも事実です。というのも、NTTドコモだけでなく大企業の多くは、ヒアリングでも調査会社へ依頼するため、実際にエンドユーザーからお話をうかがう機会がそれほどないのです。「あの言葉で一気にスイッチが入った」という声も実際に多かったですね。

 

山本様:
今年度も「高齢者向けのサービス」を考えている参加者が、銀座の街頭で声を掛けて、ひたすらインタビューしていました。毎年、路上で声掛けをしてでもインタビューしようと行動する人が出てきています。AlphaDrive流の「まず顧客と向き合う」という姿勢の大切さを、強くインプットしてもらっているのが功を奏しています。

会社ではなく「社会を見る」ためのニュース接触

山本様:
アカデミーでは世の中の動きに対して、もっと情報感度を上げる必要があると考え、NewsPicks Premium 法人契約プランを利用しました。自分の業務に関するニュースには触れていても、それ以外の領域には手を伸ばすことができていない。「会社は見ていても、社会を見ていない」と感じられることが往々にしてあると感じていました。

「社会を見る」ためには、イノベーターやアーリーアダプターならチェックしておくべきニュースにも目を通さないといけません。テレビなど、いわゆるレイター層向けのコンテンツではない最先端の世界があることを、NewsPicksを通じて触れてほしいとも思いました。

また、MOOCなど動画コンテンツでの学習も効果的だと感じています。個人的にもNewsPicksの動画コンテンツが好きで以前から視聴し、そのクオリティや内容ならば間違いないだろうと思い、動画学習プラットフォームNewsPicks Learningも導入しました。やりたいと思える新規事業に出会ったとき、そこで「使えるコンテンツがあると知ること」は大事ですから、積極的に採り入れていきました。

 

榊原:
事務局として、我々のソリューションも含めたツールやサービスを、参加者に「使ってもらう」というところには力点を置いていないですよね。自分のテーマが見つかり、活動していくうちに自然と活用していくだろう、と。それよりも、目的をどう定めるかとか、何に対して行動を起こすべきかという過程に寄り添うことを大事にされていますよね。

 

沼田様:
結果的にアカデミー生も目的が定まると情報や学習の必要性に気付いていくので、MOOCも争うように見ていますね。また、AlphaDriveのメンターのみなさんとの「壁打ち」と称したメンタリング枠も60枠用意してもらったのですが、予約開始5分で全枠埋まっていました。
「他社では枠が埋まらないこともある」と聞いたので、ぜひうちにメンタリング枠をいただきたいくらいです(笑)。

 

山本様:
「自分がやりたいことをやるために」という意識があるうえに、自分に火を点けてくれた講義をしてくれたAlphaDriveに壁打ちを担当してもらえることが積極性にもつながっていますね。

ゴールは新規事業開発だけではない

山本様:
これまでのアカデミー生で印象深い人としては、第1期で「デカいコトやろう」に惹かれて入ってきてくれた、機器故障の際の受付担当オペレーターです。顧客のヒアリングやプレゼンもやり切り、今年度はクラスメンターにも手を挙げ、1on1を通じて多くの人の「火点け役」となりました。つい最近、アカデミーでの成果もあって、事務職からグループ総合職へと職種換えの合格になったんです。

 

沼田様:
他にも、国際事業部に所属して、フィリピンに駐在しているアカデミー生もよく覚えています。彼はキャリアに関してのモヤモヤを抱えているなかで、アカデミーでの5カ月間を通じて人生と向き合ったときに「最も救いたいのは誰か」を考え、マルチ商法被害に関するコミュニティを立ち上げて運営をはじめました。ご親族にマルチ商法の被害に陥った方がいて、家族関係が損なわれてしまったという苦い経験がもとになっています。

ビジネス性としてはまだまだなのですが、誰もが踏み込める領域ではない中、とても精力的に活動しています。「僕がやらないと、他に誰がやるんですか」と話していました。腹が決まったな、という感じを受けました。

その道は、9割方しんどいことばかりでしょうけれど、残り1割の希望のために、彼は全身全霊を尽くすことを決めた。アカデミーを通して、人生に真正面から向き合う覚悟を持った彼の今後をどう占うかは、現時点ではわかりません。ただ、そういった希望を生むことができたのは、ドコモアカデミーがきっかけです。

 

山本様:
もっとも、ゴールは新規事業だけではありません。顧客インタビューは本業でも非常に生きてくる経験ですし、むしろ既存事業に戻り、より磨きをかける道を選ぶ人もいます。あるいは、NTTドコモではない外部へ進路をとってもいい。アカデミーとしては、いずれも構わないというスタンスでいます。

 

加藤:
卒業プレゼンでは、アカデミー生が「本当にやり切った」とコメントをされます。本気でコミットし続けて、本当に自分の思いや全力をぶつけきったんだろうなと思います。涙を流す人もいて、その名の通り、「魂の卒業プレゼン」だなと思いますね。

 

山本:
自分自身が見つけたテーマに対して完全に自分事化できているんですよね。

拾ってきた子猫を、反対されてでも飼うには。イノベーションの原動力

榊原:
どうしたらイノベーションを生み出そうという空気づくりができるのでしょうか。

 

沼田様:
イノベーションについて、僕は「裏庭で猫を飼ってください」という話をよくします。

自分は幼い子どもで、公園にかわいらしい猫が捨てられていたとします。どうしても家で飼いたいと連れて帰ったのだけれど、両親には反対されてしまった。泣く泣く戻すのだけれど、自分としては飼いたい。「さて、この後どうしますか?」という質問をします。

公園に住む、おばあちゃんにお願いするなど、いろんな解答が出てくるのですが、この問題の本質は「誰の、どういった許可を得ればいいのか」に気づくことにあります。

なぜ、現時点で飼うことを許してもらえないかというと、子どもに「猫を飼い続ける」ことへの信用がないからです。だからこそ、飽きずに飼えるという証拠を見せれば、信用につながるはず。

ここで僕が正解としているのは、自分の家の裏庭で、こっそり勝手に1年間飼うことです。1年間ご飯をあげ、しつけをした結果を親にプレゼンする。

つまり、ドコモアカデミーは、この話でいう裏庭なのです。ここには誰も咎める人はいないから、勝手に猫を飼ってみてください。そして、その飼っていた猫を、やがてライオンにしてくださいと。

みんなは勝手に猫を飼い始めるんです。そうすると、「自分でもやっていいんだ」という肯定感につながり、勝手にいろんなことが起きていく。イノベーションというのは勝手にやらないと起こりません。そのための雰囲気だけ、作るようにしていますね。

 

山本様:
ここではマインドに加えて、スキルもセットにしていることの良さが光っていると思います。むしろ、スキルだけだとマインドが紐付かないので、せっかくのメンタリング枠があるのに壁打ちを申し込まないといった事態になる。両方を徹底的に磨き続けるのが個人にとっても、コミュニティにとっても大事だと思います。

アカデミー出身者を経営人材に増やし、ドコモを世界一の企業へ

加藤:
ドコモアカデミーが目指す未来像を教えてください。

 

山本様:アカデミーを卒業した後は「39works」「LAUNCH CHALLENGE(ローンチチャレンジ)」という新規事業創出プログラムがあり、現在は3分の1以上のメンバーがチャレンジしています。今では選考に残るチームの多くをアカデミー生が占める様相になってきました。経営幹部からも「全体のレベルが上がった」と評価する声があり、全体の底上げにもつながっているようです。

 

沼田様:
ヤフーは比較的若い会社といえますが、幹部社員や役員の8割ほどは、Yahoo!アカデミアの卒業生でした。NTTドコモでも同じように、ドコモアカデミーの出身者が将来的な事業運営を担う人材になっていける状態を目指したいです。私はNTTドコモを、「
世界で最も勇気がある会社」にしたいですから。

 

山本様:
第1期から第2期にかけて、定員をほぼ倍にしたことで、提供するプログラムの質の低下は懸念点でしたが、クラスメンターやアルムナイが活躍してくれていることでカバーができている手応えがあります。そこで、さらなる拡大をしていきたいと考えています。

将来的にはNTTドコモ社員だけでなく、外部からの参加者も招き入れるような研修プログラムにしていけたらいいですね。内輪の取り組みだけになるのを防ぎ、よりダイバーシティを担保するうえでも有効です。

 

沼田様:
100パーセント同意です。一方で、今の自分が考えられることなんて、あまり面白くはならないだろうという気もしていて(笑)。今の自分が想像していない未来を切り拓いていきたいですね。

自分を引っ張り上げられる存在は、世の中に自分しかいません。私が今「こんな未来が訪れる」と思える以上は、おそらくその未来までしかたどり着けない。

多くの人間は地球の歴史に名を残さずに死ぬ。ただ、ナポレオンやイーロン・マスクといった偉人たちも私たちも、使える時間が等しいんです。だからこそ、もっと背伸びをして、目標は遠く、見えないところにも置いていきたいですね。

 

山本様:
そうですね。ドコモアカデミー運営のわれわれが、普通のゴールを見据えてしまってはいけません。「ドコモを世界一の企業にしよう」「イノベーション企業にしよう」と、ゴールを遠くに置かなければ、これから取り組む人たちも夢を見られない。運営側がしっかりと「デカいコトやろう」と言って、未来を描いていきたいですね。

プロジェクト担当者
加藤 隼
プロジェクト担当者
榊原 洋平
編集
林 亜季
写真
曽川拓哉