Project

これからの「働く」を本質的にデザインする 経済の教養と多様な視点が必要

株式会社イトーキでは、これからの働く場のデザインに必要な力を養うため、FMデザイン統括部所属のデザイナーを対象にNewsPicks Enterpriseを導入しています。

導入の経緯や、導入から半年経って見えてきた「効果」について、社内のデザイナーを率いる二之湯弘章・FMデザイン統括部長に聞きました。聞き手はNewsPicks for Business コンサルティングセールスの榊原洋平がつとめました。

導入企業
株式会社イトーキ
業種
オフィス関連事業
部署・職種
FMデザイン統括部
主な活用目的
イノベーター人材育成
使用サービス
NewsPicks Enterprise
二之湯 弘章

二之湯 弘章

株式会社イトーキ FMデザイン統括部長

榊原 洋平

榊原 洋平

NewsPicks for Business コンサルティングセールス

導入の狙い

より本質的なデザインを生み出すために、デザイナーに教養と視点を身につけさせたい。

サマリー

  • 企業活動を本質的にデザインするには、経済的リテラシーや教養が必要だ。
  • 導入半年、多様な視点を磨き、Pickやコメントをするメンバーが増えてきた。
  • コロナ禍でも全国のメンバーの学びをつなぐコミュニケーションのきっかけに。

企業活動を本質的にデザインするために必要なリテラシーとは

榊原:
NewsPicks Enterpriseの導入につながった課題感を教えてください。

二之湯様:
イトーキは"働く場"という空間を通じてお客様に「働き方」をご提案しています。企業活動の根源になっているのは働くという活動です。私たちデザイナーはその活動をデザインしています。お客様である企業がどう活動していくか、どのように利益をあげていきたいか、また"働く場"を通じてどう幸せになりたいかということを考えています。企業にとっての市場性を考えながら、企業活動をデザインしていく。経営や経済的なリテラシーがないと、企業活動を本質的にデザインすることは難しいのです。

イトーキのデザイナーは学生時代に建築やデザイン、芸術を深く学んできた人がほとんどで、手前味噌になりますが、デザインの能力は高いです。ただ、お客様である企業や働く人が本当に幸せになるためのデザインを考えるには、さらなるリテラシーが必要になってきます。

榊原:
どのようなリテラシーが必要なのでしょうか。

二之湯様:
"働く場"を提案していくには、お客様となる企業の中期経営計画(中計)などを読み解き、課題を見抜き、企業を取り巻く状況や、今後どのようになっていきたいかを考察する必要があります。その際に鍵となる経済や社会についてのリテラシーをどのように学んでもらうか、ここ2、3年考えてきました。

日々起きていることを自分なりに読み解くようになるには、毎日の積み重ねが必要です。お客様への提案には中計の読み解きが不可欠です。そのために経営的観点を持っていて欲しい、せめて新聞は読んで欲しい、と言ってきました。でもまだ中計の読み解きが甘い場合が多々ありました。

どう教育すべきか悩んでいた時、たまたま榊原さんと出会って、提案をいただいたんですよね。これは巡り合わせでしたね。コロナ禍前でしたが「このままではいけない」という危機感があって、一気に導入を進めました。

「これはいける」多様な観点を知ることで、お客様への提案も変わる

榊原:
偶然の出会いでした。もともと二之湯さんがNewsPicksを使っていらっしゃったんですよね。

二之湯様:
僕自身がNewsPicksを使っていて、それまでは自分の感覚や水準でしか解釈できなかったニュースについて、ピッカーの方々の意見を読むことで、視点や観点が増えていくところがいいなと思っていました。多様な観点を知ることができれば、自分でも記事をPickしたりコメントしたりすることができるようになるメンバーも結構いるだろう。それが日常になれば、お客様へのご提案も変わってくるだろう、と。「これはいける」と思いました。

 

メンバーに起きた嬉しい変化

榊原:
導入いただいたのは2020年の5月でしたね。導入から半年、いかがでしたか。

二之湯様:
まさにコロナ禍で、働き方やこれからのオフィスについての記事や考察がたくさん出てきた時期で、今考えるとタイムリーでしたね。導入にあたり、「閾値を超える」をテーマにし、ロードマップを作りました。経営者視点で事業計画を出すことをメンバーのゴールにしました。6月と7月にはNewsPicksと一緒に勉強会も開きましたね。

半年経ち、多様な記事に触れたことで、最近自分で記事をPickしてコメントするメンバーが増えてきています。自分の観点で記事を読めるようになってきている実感がありますね。この人数がもっと増えてくれば、よりインパクトが出てくると思います。メンバーは全国にいて、コロナ禍でコミュニケーションがより難しくなっているので、そういった意味でもNewsPicks Enterprise上で個々人の関心やコミットが目に見えてありがたいです。

これは予期しなかったことなのですが、熱心にPickしてくれるメンバーが出てきました。最初は自分自身の関心事をPickしていましたが、徐々に会社貢献、部門貢献という視点で、他社や取引先の動向、これからのオフィスを考える記事など、みんなに関心を持ってほしい記事を紹介してくれるようになってきました。嬉しい変化でしたね。

 

 

榊原:
二之湯さんご自身も毎日Pickされていらっしゃいますよね。

二之湯様:
僕は毎日、コメント付きでPickするようにしています。長文だと硬いイメージになってしまうので意識して短文で、気軽にPickするようにしていますね。立場上、普段メンバーはなかなか僕に話しかけづらいと思うのですが、Pickやコメントが、リアルな会話のきっかけにつながっています。記事を紹介して、反応がもらえると嬉しいですね。

導入以降、部内では2回ピッチイベントを実施していて、3回目を企画中です。まだ合格者は出ていませんが、多くのメンバーが応募してきてくれていて嬉しいです。
2021年以降も続けていきたい施策で、次は勉強会もやりたいですね。お客様へのご提案にもどう生きてくるかが楽しみです。

「神様が降りてくる」アウトプットが出てくる瞬間

榊原:
これからのデザイナーに必要な力とは一体何でしょう。

二之湯様:
ニューズピックス執行役員でNewsPicks for Business担当の麻生要一さんが「デザインにも教養が必要だ」と言ってくれて、そこに僕は共感したんです。アイデアっていきなり降ってくるわけではない。デザイナーなど、まだ見えないニーズを形にしていく人間こそ、教養的な下地がいると思うんです。

お客様の課題を見抜き、経営やビジネス、社会についての教養やロジックが結びついた時に「神様が降りてくる」と言われるようなアウトプットが出てきます。NewsPicksで視点を磨き、Pickとコメントが習慣化できれば、表現力と同様に重要な「核心をつく力」が身につくのではないかと思っています。

僕らデザイナーは最終的には自分で勝負していかなきゃいけないんです。教科書的な答えを出すだけではダメなんです。ある問いに対して、機能的に見ると教科書的な「負けないデザイン」ってあるんですが、それでは勝てない。自分なりの感性を生かしつつ、独りよがりにならずにみんなが納得するような価値を生み出すようなデザインを生み出すには、教養を磨くしかない。その上で自分なりの価値観を形成し、形にする力を育みたいですね。
 

記事のまとめ方、伝え方の参考にも

榊原:
お客様の課題を見抜くために、事前に教養を身につけて自分なりの視点を耕しておく。私たちが普段使っている言葉で言うと「自分ごと化する」ということですね。そこにポイントがあるんだと気づいた方は「自律的に学ぶ」ことの重要性に気づくんですよね。最後に、NewsPicks Enterpriseを導入して良かった点を改めて教えてください。

二之湯様:
一番はやはり、考える視点が個々人の中で増えていくことですね。普通なら100人と会話をしないと得られないほどの多様な視点が、一つの記事を通して得られる。さらに自分でコメントすることによって自らの視点も磨かれる。コメントに対して「いいね」もつくので、反応を知ることもできる。この一連のスキームが学びにつながっていると思います。

また、これはデザイナーとしての感覚なのですが、NewsPicksオリジナル記事のまとめ方がすごく秀逸ですよね。わかりやすく、きれいで、スクロールして見やすくなっています。どういうふうにポイントを押さえて伝えるべきか、お客様へのご提案をつくる上でも参考になります。デザイナーとして、伝え方の勉強にもなりますね。
 

この事例に関わっているソリューション

NewsPicks Enterprise
聞き手
榊原洋平
編集
林亜季
写真
小田駿一